定額給付金の怪

 去る11月28日に午前に県・政令指定都市、午後にはそれ以外の市町村に対し、定額給付金についての説明会があった。
http://www.nikkei.co.jp/news/main/im20081128AS3S2703Q28112008.html
 このことについては、洋々亭Forum(http://www.hi-ho.ne.jp/tomita/yybbs/#11350)においても、議論されているところです。
 平成20年12月3日付けで、全国市長会HPには、未定稿としながらも、説明会で行われた質疑応答に関し纏められ、掲載されておりますので、興味のある方は参考になさってください(要ID)*1

 気になる質疑応答*2をPickUpします。

Q:今の考え方で、私たちは、議会で補正予算を議決してもらわなければならない。その時に、委員会などで説明するが、統一的な考え方でないと。各市町村まちまちではどうなのか。今の制度としてどうなのかというところをもう少し詰めてもらわないと。
A:どの部分を詰めるんですか。
Q:補助金の問題で、全部に配らなくてもいいのかなど。議会にどのように説明するのか。
A:全世帯にお配りする、さまざまな市町村単独でね、市単独や区単独で設けられているいろいろな支援制度でもおありだと思いますけれども、例えば東京ですと、中学生まで今は医療費をみてくださるんですよね。子ども宛の医療費支給書というのをくださいます。そういった施策について、全員に行き渡るようにしますと言って、もし何かの都合で、本人不在とかいって受け取らない、返ってくる人がいたって、そこはしょうがないものがあります。だから、あらゆる施策で最大限の努力をして、ちゃんと皆さん、市民の方々に行き渡るようにするんですというのは、これは今回の仕事でもほかの仕事でも、どんな仕事でも、制度を決めた以上はこれはあらゆることで同じだと思います。市単独で要綱を決めて、こうしますと言ったら、それは最大限の今の努力をして、全員に行き渡るようにしますと、これはどの施策でも、僕は変わらないと思っていますけれども。そうした上で、住民基本台帳のところへ送って返送されてきたものをどうするかとか、そういういろいろな問題はあろうかと思います。それは行きどころが本当にわからないとかというのは、自分のところの台帳には残っているのだけれどもわからんとか、それは、1つずつをつぶしていったら、たくさんわからないところ、いろいろな点はあろうかと思いますけれども、ともかく全員を対象、対象者とされた方については、すべて既存の制度と同じです。

 「国の決めたことは、黙ってやりなさい」ってイライラしているのですね、分かります。

Q:恐らく事務を回していくには事前にやっていく必要もあると思うのだが、仮にこれ、法案がひっくり返ってしまってなくなってしまったときというのは、そのときにかかった経費というのは補償されるのか。それから、仮に補正が通ったとして、現実に現金が市町村の金庫の中に入ってこないと、歳計現金の中ではとても間に合いきれないのだが、その現金が入ってくるというのは、補助申請が終わってからということだが、どのぐらいの時期を考えているのか。
A:法律案は、予算案そのものは、まあ、予算なんですけれどもね、その法案というのは予算の意味でおっしゃったのかと思いますけれども、ひっくり返るは、ちょっと私どもとしても何とも申し上げられないのですが、ただ、実行に関する経費は、確かに予算案がきちんと通って、市議会でご可決いただくまではもともと執行はできませんので、ですからそこまでの経費、そう言うと、きょうのこの準備は何なんだという話にはなりますけれども、それ以前に例えば電算システムを組むとか何とかということは、やはりそれはできないだろう。例えば補正予算を出す前にですね。そうしたことは、そこは一切できないだろうとは思っております。まあ、ひっくり返ることはないと思っております。あともう1点、現金は、まだ財務省のほうとそれをお話しする段階でないのであれですけれども、これは、いずれきちっとした形で補正予算が見えていろいろという段階になりましたら、概算で給付ということは前回同様、お話をしたいと。これは市町村にとりましても、とんでもない金額が大量に出ていくという話になりますから、概算給付は当然お話をして、打ち合わせをしていってお示しする形になろうかと思っております。

 では、ギリギリまではじめませんので、ご承知おきを。

Q:税等を滞納されている方にも給付をしなければいけないのか。こちらのほうを滞納の税等に充てるということは可能か。
A:それとこれとはちょっと別問題、別であろうというふうに思います。実は午前中も3県の方から問い合わせをいただきましたが、結論は、例えば返済すべき民間からの借入金、債務を抱えていらしたある給付対象者が民間の、民民の債務を抱えていて滞納しているから、だれかから民事執行法に基づいて民事執行を受ける、それは債務益を取られてちゃんともう民事執行されようとしているという、こういう場合において、今回、べつに例外という法律をつくりませんから、それはこのお金、何万円か生じたものについては、それは確かに何万円かを押さえに来るとか来ないとかといったら抵抗するという手段は、これはないんです。ただ、役所の場合、今回の定額給付の趣旨ですね、生活支援と、地域経済対策は併せてになりますが、当面直面している生活給付の趣旨ということを考えた場合には、まずともかくその方にお渡しするというのがまず趣旨だろうし、それから、どうかな、同じ団体内で、結局、市民部局の方が仮に出されたとして、いきなり税務局の人がぱっとこう行ってというふうになるのは趣旨には合わない気はいたします。特別徴収班の方々のお気持ち、ご苦労は、もうこれは本当によくわかっているつもりなんですけれども、それは、そのことはそのこととして、要するにこのことは今回の給付金の趣旨としてお考えいただいて整理いただけますと、そこは助かります。

 滞納と差押えについては、洋々亭Forumでも議論になっていますね。しかし、言っていること、無茶苦茶です。「差押禁止債権の指定は考えていないが、趣旨を考えて、滞納となっている税に充てるようなことは遠慮してね。」って事ですか。

ま〜、これから全国の市町村から要望や批判があがっていくでしょうから、上記のようなスタンスにも変化が出ることを期待しますが、非常に心配であります。

*1:この質疑応答を見ると個人的に怒りを覚えます。

*2:あくまでも、未定稿版からの部分引用ですので、原文を確認してください。