酒に酔つて公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律(抄)

(目的)
第一条
 この法律は、酒に酔つている者(アルコールの影響により正常な行為ができないおそれのある状態にある者をいう。以下「酩酊者」という。)の行為を規制し、又は救護を要する酩酊者を保護する等の措置を講ずることによつて、過度の飲酒が個人的及び社会的に及ぼす害悪を防止し、もつて公共の福祉に寄与することを目的とする。
節度ある飲酒
第二条
 すべて国民は、飲酒を強要する等の悪習を排除し、飲酒についての節度を保つように努めなければならない。
(保護)
第三条
 警察官は、酩酊者が、道路、公園、駅、興行場、飲食店その他の公共の場所又は汽車、電車、乗合自動車、船舶、航空機その他の公共の乗物(以下「公共の場所又は乗物」という。)において、粗野又は乱暴な言動をしている場合において、当該酩酊者の言動、その酔いの程度及び周囲の状況等に照らして、本人のため、応急の救護を要すると信ずるに足りる相当の理由があると認められるときは、とりあえず救護施設、警察署等の保護するのに適当な場所に、これを保護しなければならない。
(適用上の注意)
第十条
 この法律の適用にあたつては、国民の権利を不当に侵害しないように留意しなければならない。

よく警察24時TVで警察官の方々が酩酊者と思しき人に声をかけているのは、この法律が根拠なのですね。
第2条の見出しが良い味出してます。しかし、努力義務規定の「飲酒を強要する等」の「等」は何を想定しているのだろうか。現在のアルハラ全般ってことでしょうか。

第3条の「とりあえず」。ほかに言葉が無かったのでしょうか・・・この文言を使用しているのは、この法律だけのようです。第10条の「国民の権利を不当に侵害」。これは難しいですね。

最後に少々関連を。

【元九条署長に逆転有罪 泥酔男性放置死隠蔽】
阪高裁判決、工作主導を認定  「死亡の責任」置き去り
 京都府警九条署で平成九年、泥酔して保護された男性=当時(50)=がガレージに放置され死亡したのに、パトカー内で保護したとする虚偽の報告書作成を指示したとして虚偽有印公文書作成・同行使の罪に問われた元署長、高崎正代司被告(62)に対する控訴審判決公判で大阪高裁は六日、無罪(求刑・懲役一年六月)を言い渡した一審・京都地裁判決を破棄、懲役一年六月、執行猶予三年の逆転有罪判決を言い渡した。被告側は即日上告する方針。
 仲宗根一郎裁判長は「原判決には事実誤認がある」としたうえで、「署長という立場にありながら、不適切な保護に厳しく対処せず犯行に及んだ。外部に真実が漏れないよう組織的かつ巧妙に隠蔽(いんぺい)し悪質」と批判した。
 高崎被告は公判で一貫して無罪を主張。控訴審には決定的な新証拠は提出されず、一審同様、「署長の指示で隠蔽した」とする元副署長(67)ら当時の署員の証言や、捜査段階の被告の自白の信用性が争点になった。
 仲宗根裁判長は判決理由で、一審判決が信用性を否定した元副署長の証言について「他の関係者の行動と整合しており、十分信用できる」と判断。一方で、「報道対策については副署長と協議したが、隠蔽は指示していない」と無罪を訴えた被告の公判供述については「元副署長の証言に照らしても信用できない」と退けた。
 また、「元副署長に『男性をパトカー内で保護していたこととする』と包括的な指示をし、共謀があったことは優に認められる」と、被告が隠蔽工作を主導したことを認定した。
 判決によると、高崎被告は元副署長=同罪で起訴猶予=らと共謀。署長在任中の平成九年一月十六日、九条署に保護された男性が署のガレージ床に寝かされて死亡したにもかかわらず、「パトカー内で保護していた」などとする報告書四通を作成し、府警本部などに提出した。
 【視点】≪捜査の方向に疑問≫
 京都府警九条署の放置死隠蔽事件で六日、元署長に逆転有罪を言い渡した大阪高裁判決は「署長という立場にありながら厳正に対処しなかった」と署のトップの責任を厳しく指弾した。だが、そもそも、警察に保護された市民の生命が失われた事件をめぐって、「虚偽有印公文書作成・同行使」という罪名に違和感があることは否定できない。
 背景には、複雑な経過をたどった捜査状況がある。内部告発を受け、府警が捜査に乗り出したときには事件から五年以上が経過していた。放置死の経過を虚偽報告したとして、元署長ら九人を書類送検。このうち元署長のみが在宅起訴された。
 直接、保護にあたった元署員三人は、業務上過失致死容疑でも送検されてはいる。しかし、その段階ですでに時効が成立しており、不起訴処分となった。京都地検は時効が長い保護責任者遺棄致死罪での立件も検討したが、放置と死亡との因果関係の立証が困難との理由で見送ったという。
 もちろん、自己保身のために隠蔽に走った元署長の行動は強く非難されてしかるべきだ。
 だが、事件を「不祥事の隠蔽」に限定し、元署長一人の責任に絞って追及した捜査の方向は、果たして適正だったか。放置死そのものについて誰も刑事責任を問われないことに、強い疑問を感じざるを得ない。
 (福富正大)
 ≪放置死隠蔽事件の経過≫
 平成9年1月16日 京都府警九条署がガレージで保護していた泥酔男性が死亡。  「パトカー内で保護していた」と府警本部に虚偽報告
 14年秋     内部告発を受け、府警が捜査開始
 15年2月14日 府警が虚偽有印公文書作成・同行使容疑などで元署長の高崎正代司被告ら当時の署員9人を書類送検
    3月28日 京都地検が高崎被告を在宅起訴。他の8人は起訴されず
    5月26日 京都地裁で初公判。高崎被告は無罪主張
 16年8月25日 検察側が懲役1年6月を求刑
 17年1月12日 京都地裁が無罪判決
      26日 京都地検が控訴
   11月30日 大阪高裁で控訴審初公判。弁護側が改めて無罪主張し、即日結審
  18年3月6日 大阪高裁が逆転有罪判決
産経新聞 2006年03月06日 

元署長は、上告したとのこと。
この法律に厄介にならぬよう、気をつけましょう。