北上市:総務省に交付税減額阻止へ要望 東芝補助で財政不足 /岩手

2/9付けの記事(http://d.hatena.ne.jp/schwantner/20080209)で掲載した北上市についての記事。

 東芝新工場が建設されても国からの地方交付税が減らされないよう、北上市総務省への要望に力を入れている。北上市の企業誘致策の影響で、現状では工場建設後3年間は財源不足に陥るためだ。しかし国の懐も余裕はなく実現のハードルは高いという。
 東芝新工場の設備投資額が8000億円で耐用年数がすべて5年と仮定すると、固定資産税額は1年目91億円、2年目57億円、3年目36億円。しかし北上市には設備投資奨励補助金制度があり、3年間は固定資産税額と同額の補助金東芝に与えられる。1年目なら91億円はまるまる東芝に返される。
 しかし、いったんは市税として受け取るので、地方交付税は減らされる。その額は1年目が68億円、2年目が43億円、3年目が27億円。08年度の北上市交付税額は48億円なので、1年目は不交付団体になる。2年目の交付額は5億円、3年目も21億円にとどまる計算で、財源不足に陥る。
 これを阻止しようと北上市が力を入れているのが、農村地域工業等導入促進法(農工法)の適用拡大。農村部の工業化を図る趣旨の法律で、適用されれば交付税減額は免れられる。しかし財政力指数0・6以上の比較的豊かな市町村は対象外。北上市の財政力指数は08年度で0・72と見込まれる。
 国の財政も厳しい状況にあるが、佐々木進財務部長は「財政力指数制限の緩和を総務省に要望している。注目されている地方再生・地域間格差解消に対し、もっと目配りしても良いのではないか」と話している。

私も当初は記事を見て、簡単に考えていたわけですが、なかなか難しい事案のようです。上記の「北上市企業設備投資奨励補助金交付要綱」を確認すると、

(補助条件)
第3 市長は、次のいずれにも該当する企業に補助することができる。ただし、土地にあっては、取得後1年以内に工場等の建設に着手した場合に限るものとする。
(1) 対象区域内に新設又は増設し、事業の用に供していること。
(2) 固定資産投資額が3千万円以上であること。
(3) 新規雇用者が5人以上であること。
2 立地支援企業の場合にあっては、操業企業が前項各号に該当する場合とする。ただし、立地支援企業が固定資産投資額の全部又は一部を負担する工場等については、前項第2号の固定資産投資額は、操業企業及び立地支援企業の固定資産投資額を合算するものとする。
3 第1項第1号に規定する新設又は増設は、平成19年12月31日までに事業の用に供した固定資産に限るものとする。
(補助金の額)
第4 補助金の額は、補助を受ける企業の当該年度に係る新設又は増設分の固定資産税相当額以内の額とする。この場合において、固定資産税相当額には、北上市企業立地奨励条例(平成3年北上市条例第143号)の規定による固定資産税の課税免除分は含まないものとする。
(交付申請)
第5 補助金の交付を申請しようとする企業は、補助金交付申請書(様式第1号)を市長の定める期日までに提出しなければならない。
2 市長は、前項の申請があったときは、内容を審査し、適当と認めるときは規則第4条の規定により交付の決定をするものとする。
(補助金の交付)
第6 企業は、補助金の交付の決定があったときは、補助金に係る固定資産税を納付後の12月末日までに補助金交付請求書(様式第2号)を市長に提出しなければならない。

第3の第3項をみると「平成19年12月31日までに」となっていますが、これはすでに「東芝が用に供した」又は「改正済」と信じるとして、確かに、固定資産税の賦課はするが、その同額の範囲内で補助金を交付するとされている。
この補助金交付要綱の作成に際し、北上市財政当局はこの事態は想定していなかったのでしょうか。しかし、お願いする相手のトップが元岩手県知事であるのが皮肉。