土地代4千億円が未払い 自治体、土地開発公社に

 財政状況の悪化などを理由に、地方自治体が代金を支払わないまま、土地開発公社が先行取得した土地を道路や公園などに利用するケースが相次ぎ、昨年3月末時点の未払い金総額は全都道府県で計299公社、約4105億円に上ることが20日、総務省の資料で分かった。
 自治体が支払い義務を怠っていることで、公社の借金返済が遅れ金利負担が増加。結果的に住民負担が膨らんでいる。自治体財政健全化法が成立し、自治体が公社や第3セクターを含め財務の透明化が迫られる中、総務省は「不適切な財政運営だ」として、早期の代金支払いを重ねて求める。
 総務省の「2006年度事業実績調査」の原資料で判明したもので、未払い金は全国で1104ある土地開発公社の27%で発生している。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008022001000803.html

わが社の土地開発公社については、どのような状況か承知していないが、なんとなく心配である。「財政健全化法」に関しては不勉強なので、予習しなくては・・・。

自治体の取組み状況はというと、

新潟県庁(2008年01月28日発表)の「平成18年度市町村土地開発公社事業実績調査の概要」(http://www.pref.niigata.lg.jp/HTML_Article/tochikou.pdf)によると、

土地開発公社の経営の健全性を見る指標として、土地開発公社が市町村の債務保証等を受けて取得した土地保有高( = 債務保証等対象土地保有高)を、構成市町村の標準財政規模で除して判断する場合があります。
総務省では、この指標が50%を超える場合は、将来の市町村財政に与え
る影響が懸念される(中略)市町村土地開発公社は市町村が全額出資している法人であるため、その経営
状況は市町村財政に影響を与える場合があります。具体的には、

  1. 市町村の方針により、土地開発公社に取得を依頼した土地を、長期間経過後に購入する場合、当該期間の管理費や利息分が上乗せされた価格で購入することとなります。
  2. 土地開発公社が金融機関から土地取得資金を借り入れるに当たって、市町村が債務保証することが通例となっています。したがって、土地開発公社の経営がたちゆかなくなると、その債務は市町村が負担することとなります。

平成19 年に公布された地方公共団体の財政の健全化に関する法律において、土地開発公社第三セクターの負債等について、地方公共団体の実質的な負債ととらえる「将来負担比率」が定められたことから、同比率算定の際のガイドラインについて、現在、総務省で検討が進められています。
 土地の有効利用を図るため、保有土地の賃貸事業が平成16年12月から全国で可能となりました。県内の市町村土地開発公社でも、上越市土地開発公社が取り組んでいます。
また、土地保有額を適切に把握するため、処分見込みが立たない土地を時価で評価するなどの新経理基準については、県内の市町村土地開発公社では平成18 年度までに8公社が適用しています。」

いずれにしても、財政健全化法が平成19年度決算から適用となることから、言わばその当落線上に位置すると報道されている自治体などは気が気でないでしょうね。「明日はわが身」である。

(参考資料)
総務省(2007年12月27日発表)平成18年度土地開発公社事業実績調査結果概要はこちら→http://www.soumu.go.jp/s-news/2007/071227_1.html
三菱総合研究所MRI*1)の「自治体チャンネル*2」→http://www.mri.co.jp/REPORT/LOCAL/2007/09/20070901_bic03.pdf 

*1:核磁気共鳴画像法ではなく、三菱総合研究所のことである。

*2:1998年6月、自治体や政府・中央官庁に対する長年のコンサルティング経験を活かし、月刊誌として創刊。電子政府地方分権行財政改革NPOPFI中心市街地、観光、情報化、環境、医療、福祉、防災など、地方行政にとって今、最も気になるテーマをわかりやすく解説している。